覗きはダメです 裏窓

裏窓

覗いてたらひどい目に遭う話

制作年 1954年
制作国 アメリカ
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚本 ジョン・マイケル・ヘイズ
原作 ウィリアム・アイリッシュ
上映時間 114分
出演
ジェームズ・スチュアート
グレース・ケリー
レイモンド・バー

だいたいのあらすじ

カメラマンのジェフ(ジェームズ・スチュアート)は脚を骨折して車椅子生活を余儀なくされ、暇人になっていました。
来週にはギプスは取れることになっていたのですが、仕事はできないし、足は痒いわで散々でした。
そういう訳なのでジェフは暇つぶしに家の裏の下町然としたレンガ作りの建物や通りを眺めていました。
幸いな事に向かいのアパートには窓辺で下着姿で全力で踊るお姉さんや不仲夫婦、おせっかいおばさんとか住民には変人が多いので、退屈しのぎにはなっているようです。
通いの看護師おばさんステラ(セルマ・リッター)からは「覗きは逮捕だぞ」と窘められる日々でした。

ジェフにはもう一つ悩みがあるのですが、それは恋人のリサ(グレース・ケリー)が結婚を意識し始めた事です。
できるだけ気楽な独身で居たいので、リズとは今の関係を保ちたいというのがジェフの本音でした。
また、リサはいい所のお嬢さんなので、自分のような世界を飛び回る貧乏カメラマンには合わないと彼は考えているようです。
ステラはそれに関しても向こうはあんたの事愛してるんだから結婚しちゃいなさいと物申しました。

その夜、リサが訪ねて来たのですが、ジェフの言う通り彼女は超絶セレブで、1100ドルのドレスを「今日のために買ったのよー」と披露し、一流レストランの出前を給仕付きで連れて来るという凄さでした。
「ねえあなたもスタジオ持って落ち着かない?」とリサがグイグイ来たのですが、ジェフは海外を飛び回るのが好きなので話について行けず、ついつい向かいのアパートをながめて「おっ、今日はあのおばさん男が来るのかな」等とひたすら覗いてしまうのでした。
しかしおばさんはディナーの飾りつけだけをして一人で乾杯しており、シクシクと泣いていました。

毎日のように覗いているジェフは住民を覚えて勝手な仇名を付けており、先ほどのおばさんはミス・ロンリー(ジュディス・イヴリン)で、下着で踊るお姉さんはミス・グラマー(ジョージーン・ダルシー)と呼んでいました。
丁度いい具合に肉が焼けた所で、作曲家が素敵な曲を演奏し出したので、リサは「私達のために弾いてるみたい」とウットリし、うっかり彼氏の覗き趣味を肯定してしまいました。

それはそうとして色々と話し合った末にリサは「じゃあ私がついて行く」と言い出したのですが、ジェフは「無理だぞ。魚の頭に米食べなきゃいけないぞ」と日本人をディスる事を言い出しました。
話は平行線で「このままじゃいかんのか」というジェフにリサは「将来ないのに会いたくない」と別れを告げたのですが、「明日の朝まで」と付け加えました。
ジェフは仕方なく覗きを始め、いつも呑気にベランダで寝ている夫婦が通り雨に遭って家の中に避難する様子を見てニヤニヤしていました。
この夫婦犬飼ってるんですが、外に出す時に籠で下まで降ろしてて面白いのです。

ジェフは不仲疑惑のある夫婦の夫・セールスマンが深夜2時だというのにデカい鞄を抱えて通りと家を何度も往復しているのを目撃しました。
モテモテのミス・グラマーが男を叩き出している間にも売れない作曲家(ロス・バグダサリアン)が苦悩している間にも夫はせっせと雨の中を鞄を抱えて往復していました。
ジェフはそのままうたた寝して朝を迎えました。
翌朝、ステラに「あいつ昨日怪しかったよ」とセールスマン(レイモンド・バー)の話をし、双眼鏡を出してきてもらい、覗きにますます力を入れるようになります。

バレるとマズいと考えたジェフは望遠レンズ付きの一眼レフで覗いたりして覗ぎ技術を向上させていたのですが、どうやらセールスマンは宝石商のようで、なぜかデカい刃物を新聞紙にくるんで片付けていました。
その夜、リサが訪ねて来てチュッチュしてジェフを誘惑したのですが、彼はセールスマンの件で頭が一杯で、「何か恐ろしいことが起きてる」とリサに話します。
もうセールスマンと付き合えばいいと思います。
ジェフはセールスマンが妻を殺害して死体をバラバラにしていると考えているのですが、リサは流石に「いい加減にして!」とキレます。

しかしセールスマンがデカい箱を運んでいるのを見たリサも彼は怪しいと思い始め、ジェフの考えを聞くようになります。
確かにセールスマンの妻の姿はこの所見えず、彼女の寝室はずっとブラインドが降りていました。
それからリサはジェフの捜査に協力するようになり、郵便受けを確認してセールスマンがラーズという姓だと知らせました。
ジェフは安楽椅子探偵ですね。(違うと思います)

翌日、ジェフは友人のドイル刑事(ウェンデル・コーリイ)に電話して殺人事件だと呼び出します。
ステラは電話の内容を聞いてノリノリで捜査に参加し、二人はラーズがデカい箱を運送業者に引き渡しているのを目撃しました。
彼女はジェフに「運送業者の会社を調べてくる」と家を飛び出しましたが、間に合いませんでした。
ドイルはジェフの話を聞きましたが、殺人の可能性は薄いだろと至極まっとうな事を言いましたが、ラーズの妻の行方だけは調べてくれると言い残して去りました。
その後、ジェフは犬が掘り返していた花壇の隅をラーズが埋め直しているのを目撃しました。

ドイルはその後の調べでラーズは妻と朝6時に駅に出発しており、管理人と住人が姿を見ていたとジェフに伝えに来ました。
また、ラーズの家のポストには妻から「無事に着いた」というメリッツ消印のハガキが入っていたので疑う余地は無いと教えました。
その夜、作曲家の家に珍しく女性が二人も来ており、いつも一人酒をしているミス・ロンリーも化粧をして外出し、通りのカフェに腰掛けていました。
入れ違いにラーズが帰宅し、荷造りを始めていたのでドイルに電話し、夫人が出たので「すぐ来させて!」と伝えました。

その後、ラーズは妻のバッグらしきものを物色していました。
ジェフの部屋にはリサがやって来たので、「このままじゃ、あいつ逃げちゃうよ」と相談しました。
やがてラーズは手ぶらで家を出て行きました。
リサはバッグを置いて家を出るのはあり得ないと返答し、朝6時に家を出たのは妻ではないのではと考えを語りました。
その後ドイルがやって来たのですが、彼は二人の推理を否定し、大きな箱には夫人の衣類が入っていてラーズの妻が取りに来たと知らせ、最初から事件等無かったと告げて去りました。

ジェフ達は自分達の推理が間違っていたのかと落ち込んでいたのですが、向かいのアパートではベランダ夫婦の犬が首の骨を折られて殺害されるという騒ぎが起きていました。

感想

これは普通です。
暇を持て余したおじさんがアパートの窓を覗いてたら、なんか怪しい男が居て…という内容です。
推理要素とか余り無くてハラハラする展開も少ないです。
テンポもそれほど良い感じでは無く冗長に感じられました。
むしろ私が冗長に感じた部分で、アパートの住人の群像劇というか人間模様というかそういう部分が逆に面白かった気がしました。
それが遠目で見ている感があるのがTVの一コマのようで面白いのかなあと感じました。

ヒッチコック作品って主人公なり、ヒロインが何かの問題を抱えていて、そこがクローズアップされるパターンが多いのかなあと勝手に思っています。
今回は主人公が歩けないという点が制約で、そこは活かせてるような気がしましたが、めまいとか白い恐怖に比べるとインパクトは弱い気が…
正直言って、ジェフ達の推理は無理があるので、概ねドイルの動きが正解だと思いますが、それも主人公が動けないのが要因だと思われる部分がありますし、そもそも覗きを始めたのは動けないからなんですけどね。

変わった演出が一眼レフや双眼鏡のシーンや、フラッシュの目晦ましのシーンでしょうか。
フラッシュのシーンは一瞬画面が赤くなって戻るということでラーズの視点を表現してました。
後、ベランダに梯子があったりしてアパートの作りもなかなか面白いのです。

ロマンスは盛りだくさんでリサのPVなのでは無いかと思ってしまいます。
リサはファッションショーのように毎回毎回衣装を変えて、綺麗にメイクして出て来ます。
ラーズの部屋に侵入する際に来ていたワンピが可愛かったのと二回目の黒ドレスもいいなあと思いました。
侵入シーンがなかなかスリルあって面白かったので余計にそう見えたのかもしれません。
リサは遠目で動いてる姿もちょこちょこして可愛かったです。

ラストまでのあらすじ

向かいのアパートではベランダ夫人の悲鳴と嘆きを聞いて皆が顔を出したのですが、ラーズだけは顔を出しませんでした。
そしてジェフがリサとステラと一緒に確認した結果、犬が掘っていた花壇の花が植え替えられているのが判明しました。
ジェフは反応を見るためにラーズ宛ての「彼女をどうした?」という手紙を書き、リサにドアポストに投函するよう指示しました。
リサが手紙を投函すると、手紙を見たラーズはあからさまに動揺しており、投函した主を捜そうと周囲を確認していました。

直後にジェフがラーズに電話を架け、「死んだ女房の件で話があるからホテルのバーに来い」と呼び出しました。
ラーズが家を出たのを見計らい、ステラとリサが花壇を掘り返します。
ジェフは取らぬ狸の皮算用でドイルに電話したのですが、結局花壇からは何も出ませんでした。
業を煮やしたリサは何とラーズの部屋に侵入し、夫人のバッグをチェックしたのですが空でした。
そうこうしている内にラーズが戻って来てしまったので察知したリサは隠れ、ジェフは警察に通報しました。

リサはラーズに捕まってしまい、上を指差して誤魔化そうとしたようですが、掴まれて揉み合いになり、ジェフの名を叫んでいました。
そこに警官が来たのでリサはさほど暴行は受けませんでしたが、指輪をゲットして手信号を送ったので、ラーズはジェフ達が見ている事に気付きました。
ジェフはドイルから連絡を受け、リサが逮捕された件と指輪の件を伝え、ドイルがリサを引き取りに行ってくれることになりました。

ラーズはジェフの部屋に乗り込み「何が望みだ」と問い詰め、指輪を取り返そうとジェフに迫ります。
ジェフはフラッシュで目晦ましをしながら時間を稼ぎますが、揉み合いになり、窓から落とされてしまいました。
駆け付けたドイル達がジェフのクッションになったので、ジェフは無事で、ラーズは警官に逮捕されました。
そしてラーズは妻殺しを自供して連行されました。

ベランダ夫婦は新しい犬を飼ったようで、ミス・ロンリーは作曲家と仲良くなったようです。
ジェフは窓から落ちたので両脚骨折してしまい、リサは雑誌をジェフの様子を眺めつつ、ファッション雑誌のページをめくるのでした。

エンドロールで終了です。

リサには海外生活無理ですよね。
私てっきり、ミス・ロンリーとラーズが出来てて、朝6時に一緒に出たのは彼女だと勝手に思ってました。
でもカフェに入るシーンとかラーズと関係なさそうだったのでやっぱ違うのかなと。
特典はメイキングとかインタビューとか色々入ってました。

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