ヘルドライバー
ゾンビも日本もぶった斬れ!
制作年 | 2010年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 西村喜廣 |
脚本 | 西村喜廣/渚大地 |
上映時間 | 117分 |
出演 |
原裕美子 |
しいなえいひ |
柳憂怜 |
だいたいのあらすじ
尼忍者のような不思議な恰好をした男が上部に電流が流れた有刺鉄線の仕込まれたコンクリートの高い壁を登り、人間のバラバラ死体を投げ入れていました。
すると頭のメロンのヘタのような物を付けたゾンビがワラワラと集まって来て死体を貪ります。
男は無限の住人の偽一のような輪っかで首を斬るフックを投げ、ゾンビの首をワシワシと狩ってはメロンのヘタを集めていましたが、足を滑られてぞゾンビの群れに落ちました。
なぜかゾンビはゾンビタワーを作り、上へ逃れようとする男を追うのですが、そこに一台の車が飛んできてゾンビタワーを崩し、中からは黒ずくめの若い女性が飛び出して来ました。
若い女性は日本刀にチェーンソーが付いている原理がサッパリ分からない武器を出すとゾンビをバッサバッサと切り倒し、首の骨が長いゾンビでポールダンスをしながら、ゾンビを全滅させていました。
この映画は冒頭で「あっ!これバカ映画だ!」って教えてくれる親切設計です。
この女性はキカ(原裕美子)で、彼女は一年と少し前までは普通のJKでした。
メロンが名産の夕張でキカは父(石川ゆうや)と一緒に暮らしていました。
実は親子はキカの母であるリッカ(しいなえいひ)とその弟であるヤスシ(岸健太朗)の姉弟連続殺人鬼から身を隠していたのですが、とうとう見つかってしまったようで、キカが帰宅すると、父は斬られた足をハンバーグにされてしました。
終いには父はキッカに燃やされてしまい、キカは表に飛び出してモヒカン男ヤスシの投げるナイフの中を逃げ惑います。
しかしキカはリッカに捕まってしまい、「あんたは一生あたしの奴隷なんだよ!」と首を絞め上げられます。
その時、宇宙から飛来した隕石がピンポイントでリッカを狙い、彼女の胸には大穴が開いてしまいました。
どういうことなんでしょう?
リッカは「これもあたしのものなんだよ!」とキカの心臓を抉り出し、自分の胸の穴に装着しました。
すると彼女の身体は黄色い光に包まれて、頭頂部から黒い灰を放出し始め、それは北海道全域に広がります。
また、キカも黄色い光に包まれて大空高く跳ね飛ばされていました。
この黒い灰に人間が触れると感染により頭部にメロンのヘタができて死亡するのですが、死後すぐにゾンビとして読みがりました。
灰は東北地方にまで飛来し、ゾンビの数は600万人に及んでいましたが、間もなく灰は消滅しました。
嶋田総理大臣(鳥肌実)は東北を境に壁を作り、日本はゾンビとそれ以外の人に分断されました。
これが冒頭の壁だったみたいです。
東京には東北からの避難民が溢れて世紀末の様相でしたが、住居が不足したので政府は「一家庭三家族制」という制度を可決して狭い家に詰め込みました。
その一方で感染者を守る会が発足し、会長(津田寛治)が「感染者の人権を守ろう」と訴えたので、ゾンビはそのまま生かされていました。
一方、キカは関東地方まで飛ばされて黄色い繭に包まれていた所を棒読みのカタカナ日本語を話す医師により病院に保護されたのですが、なぜか彼女は生きていました。
清水崇監督が「寿怨」とかいうTシャツ着て出演してます。
感染者に噛まれても感染することは無いそうで、感染者のヘタは麻薬と同じような効果があるということですが、ヘタは衝撃を受けると爆発するので取り扱い注意だそうです。
それで冒頭の男はヘタ集めをしていたんですね。
東北地方が全滅したので日本の食糧事情は最悪で特にコメ不足は深刻化しており、人々はゴキブリを食べるようになります。
キカは手術を受けて1年間保護されていたのですが、病院は違法な事をしていたらしく、逃走する際に彼女は路上にポイされていました。
兵の中に入ってゾンビのヘタ集めをしていたタク(柳憂怜)と連れの少年ナナシは兵の上の警備兵とゾンビの群れに挟み撃ちになり、絶対絶命でした。
その時、銃声を聞いたキカが目を覚ましたのですが、彼女の胸には金属のパーツが装着されていました。
親切なゾンビがチェーンソーを持って彼女を襲ったのですが、その際にわざわざ胸のエンジンを起動してくれました。
すると胸のパーツとケーブル接続された日本刀チェーンソーが起動し、親切ゾンビをぶった斬りました。
チュートリアルモンスターでしょうか?安心です。
どうでもいいですが、壁に穴開きまくりですね。
エンジン駆動したキカはまず塀の上にいた警備兵をぶった斬り、タクとカイトを襲っていたゾンビをチェーンソーチャンバラの末に全滅させました。
警備兵の集団が駆け付けたので、キカはタクに手を引かれて一緒に逃げました。
感染者の件を全く知らないキカはカオスな町を見て戸惑いました。
タク達は井出組にヘタを運び、組長の安藤(宮下ともみ)からお金を受け取りました。
その夜、キカは父と共にリッカに虐待を受けていた際の悪夢を見るのですが、彼女は突然苦しみ始めます。
同じ頃、黄色い膜に覆われていたリッカが頭にヒトデのようなものを装着したゾンビとして復活していました。
どうやらリッカが心臓を握ると無い心臓が痛くなるらしく、キカは胸を押えて苦しみ悶えます。
リッカはヘタをピカーンと光らせ、ヤスシを筆頭にゾンビ軍団を招集していました。
実はキカは大沢法務大臣(ガダルカナル・タカ)が加担しているゾンビを倒す計画で作られた改造人間でした。
感染者を倒すことを主張している大沢はゾンビを利用して嶋田を暗殺し、クーデターを起こしました。
同じ頃、井出組にも警備兵の群れが突入し、ヘタを売りに来ていたキカ達も戦闘に巻き込まれます。
ここでいきなりタイトルが出てきました。そういえば出て無かったっけ?と思い出しました。
キカ達は連れ去られて、当局により死刑囚となってしまい鉄の処女のような装置に閉じ込められてしまいました。
そして大沢が通した「GOGO夕張法」という法案により、夕張にいるゾンビの元凶であるリッカを倒すか捕獲すれば無罪で賞金、断れば死刑という選択をさせられます。
キカ達はリッカを倒すことを選び、一部の組員は断ったのでその場で死刑執行されていました。
大沢からはGPS銃をリッカに撃ちこむようにと渡されたのですが、これは撃った所にミサイル支援が入る装置だそうです。
ということでキカとタク、ナナシ、安藤と組員イシノ(駿河太郎)の五名は壁の向こうに出発しましたが、出発早々にイシノは首だけゾンビの攻撃を受けて死亡しました。
どうやらノックの要領でゾンビの首を斬って打ち出しているゾンビがおり、その攻撃で首ゾンビがあられのように車に飛んできていました。
キカとナナシは窓から身を乗り出して首ゾンビを撃墜したのですが、安藤が股間をゾンビに噛まれてハンドルを奪ったので、車は木に激突して停止しました。
安藤はここで退場となり、車から降りたキカ達に首ゾンビが振り注いだのですが、キカはリッカの心臓握りを食らって動けなくなります。
絶対絶命のピンチでしたが、ヘンなガンマン風のカイト(波岡一喜)が現れて首ゾンビを撃って全滅させました。
キカ達はカイトのヘンな車に乗せられて窮地を脱しました。
カイトは妻を捜しに来たのですが既にゾンビに食われていたそうで、妹捜しをしているナナシが写真を見せたのですが、見たことはないということでした。
もしかしたら「ゾンビ酒場」と呼ばれる場所に居るかもと言うので、皆はそこに行くことにしました。
そこではゾンビが食料として保管するために人間を集めており、花魁の姿をした花魁ゾンビ(穂花)や宿敵ヤスシゾンビがいたのですが、人間の中にはナナシの妹マアヤ(早乙女ルイ)もいました。
カイトも手伝ってくれるというのでキカとカイトが突撃し、その間にマアヤを助け出すという作戦になります。
しかし既にマアヤは腕のリスカ痕をゾンビに舐め回され、指や乳首を噛み千切られたりと酷いことになっていました。
そこにカイトの車が突撃し、キカとカイトはゾンビ軍団と激戦になりますが、先にに生存者を逃がします。
カイトはヤスシゾンビに車のボンネットに乗られてしまったので車を出し、木の杭に彼を刺すことに成功しました。
そしてキッカはボクサーゾンビを軽く倒してゾンビを一掃したのですが、ゾンビの死体を吹き飛ばし、手が沢山生えたくも女ゾンビ(水井真希)と対峙します。
ナナシ達はその隙に無残な姿のマアヤを助け出したのですが、臍の尾のついた赤ちゃんゾンビを鎖鎌のように投げるママゾンビに遭遇しました。
こんなん苦笑するしかないです。タクの「うわー」という叫びで噴きました。
くも女ゾンビはいきなり抱きついてきて顔に生えた手でキカをビンタして来たので苦戦するのですが、更に沢山の手に日本刀を持ち、パワーアップして襲ってきました。
また、日本刀等をトゲトゲに生やしたトゲトゲゾンビが出現して、カイトの車とチャンバラしていました。
そしてタクとナナシも赤ちゃんゾンビの臍の尾に首を絞め上がれて噛まれまくり、タクは「いててて」と絶叫していました。
赤ちゃんは歯が生えてるんでしょうか?
キカが思い切りくも女ゾンビをキックして壁に突き飛ばしたので、壁の向こうの赤ちゃんゾンビにくも女ゾンビの日本刀が貫通して刺さりました。
赤ちゃんゾンビの脅威は去ったものの、ママゾンビは前転をしながら物凄いスピードでタク達に迫ります。
くも女ゾンビも形勢不利と見たのか、全ての手にマシンガンを装備してマシンガンを乱射します。
キカは日本刀チェーンソーで弾を弾き、またまた後ろの壁が抜けました。
くも女ゾンビの前にはママゾンビとカイトが車で吹き飛ばしたトゲトゲゾンビが突っ込んできたので相討ちとなり、カイトがくも女ゾンビを仕留め、一行は急いで車を出して逃走しました。
感想
これはくだらないです。
連続殺人鬼だった母が娘を殺した後にゾンビを産み、娘が復讐をしようとするという内容です。
よくこういうこと思いつくなあと感心します。
ゴリゴリな内容ですが、超強引に筋はあって話も意外と面白いです。
ちょっと長めなのでちょっぴり飽きましたが、テンポはいいと思います。
演出もゴリゴリで「はい、ここ無くとこですよー」という場面では悲しいBGMを流します。
冷静に考えるとツッコむところなのですが、つい騙されます。
でも戦闘シーンのBGMはカッコいい感じでテンション上がります。
それに「はい、面白いことしてますよー」的な押し付けもちょっぴりあるのですが、むしろ違うシーンで苦笑気味に笑ってしまうという。
フェミ系の人怒りそうなシーンが沢山あるのですが、私的にはもう苦笑いしかないという感じで色々上手だと思います。
優秀そうないい大人のスタッフが総力を結集して撮影している現場を想像すると笑いがこみ上げてきます。
凄くどうでもいい所に全力を注いで作りこんであるのですが、夕張は「メロン」という看板だけで雑だったりします。
夕張どこでしょうね?ちょっと興味あります。
キカが胸に着けているのはどうやら心臓の代わりみたいなのですが、どういう原理なのかは一切説明無く、「スゲー」で終わります。
良く分かりませんが、パワーアップはしてるみたいで、それでゾンビと戦えるみたいです。
片腕マシンガールのマシンガンは何となく有機物感もあったのですが、これは完全にメカに見えて重そうです。
警備兵も三角頭の金属帽被ってて、たまに盾みたいに使ってました。
ゾンビとかも凄い作りこんであってヘンなゾンビ一杯出てきます。
リッカがラスボスなのですが、むしろ花魁やヤスシの方が強かったような気がします。
大巨人も集合してるだけで殆ど何もしないのにウケました。
グロ系は脳味噌とかはグロいですが、他は「作り物」という感じで作ってるみたいです。
血の量は凄いです。この映画、血を浴びてない人一人もいないのでは?
どう考えても仲間にはなりたくない人しか出て来ないのですが、不思議な事に感情移入はしやすい気がします。
恐らくリッカと政治家が凶悪過ぎる所為ではないかと思いました。
ナナシくんは可愛かったです。
キカの人は目力凄いと思われ、リッカは完全にネタに走ってる気がします。
マアヤちゃんはHなグロ描写だけのために出て来たみたいで切ないです。
井出組は一体なんだったんでしょうか?
ラストまでのあらすじ
杭を抜いたヤスシゾンビはバラバラになったゾンビの身体からゾンビカーを作り、カイトの車を追い掛けて来ました。
どういう原理でしょう
とうとうキカは車から落ちそうになってしまい、タクに助けられますが、ゾンビカーの前の手に捕まってしまいます。
更に前方から花魁ゾンビが現れて車の屋根に飛び乗った際にショックでタクはつま先だけで荷台に引っ掛かった状態になります。
ゾンビカーより花魁ゾンビの方が足早いじゃんって思いました。
花魁ゾンビは楽しそうにタクの足を日本刀で斬るので、タクは落ちそうになります。
更にヤスシゾンビが自分の手首を切断して運転を任せ、自分は飛び出してカイトの首を絞めます。
とうとうタクの足首は斬られてしまいましたが、タクはゾンビカーを乗っ取り、キカはゾンビカーの上に立ちました。
めっちゃドヤ顔でカッコいい決めポーズ取ってますけど車ゾンビですから
タクはアクセルを踏み込み、カイトの車と並走し、キカと花魁は日本刀で斬り合います。
やがてパワー勝したキカは花魁を真っ二つに切り裂き、カイトもヤスシをゾンビカーに突き飛ばしてブレーキを踏みました。
怒りのキカはヤスシの肛門に日本刀チェーンソーをを突っ込んでグリグリし、タクはカミカゼの鉢巻を絞めて前方のクレバスに向かってアクセルを踏み込みます。
タクはキカに「早く降りろー。ナナシの事は頼む」と叫んでキカを飛び降りさせるとクレバスに突撃してヘタを爆発させました。
残念ながらマアヤは死亡してしまい、皆はタクとマアヤを失った悲しみに沈みます。
キカはリッカを倒しに行くと宣言し、カイトとナナシも同行します。
西村夫妻役で豊島圭介監督出てました。
そしてキカ達はいよいよ北海道に上陸しました。
一方、大沢はキカ同様に胸が金属でできたハイパーポリス・姉(亜紗美)と弟(斎藤工)を出動させていました。
ようやメロン夕張に到着したキカ達でしたが、早速心臓ニギニギを食らって苦しみます。
更にリッカはゾンビ達を合体させて「丘に町が」的な巨人を作り、てっぺんに自分が居座っていました。
リッカは「グリグリグリグリ」とどっかで聞いたような台詞を言いながらキカの心臓をグリグリします。
そしてナナシがGPSガンを撃ったので、ゾンビ巨人はミサイル攻撃を受けて崩れました。
しかしリッカは無事で再び巨人を形成し、大沢が連打したミサイルは巨人に掴まれます。
巨人はミサイルを両手に飛行機のように変形して空を飛び、キッカは巨人に飛びつきました。
ゾンビジェットはヤスシの落ちていた上空を通過したので、生きていたヤスシはノックゾンビに頼んで自分の首をジェットに向かって打ってもらいました。
ということでヤスシは適当な身体に合体し、キカの前に復活して現れました。
上空でヤスシとキカの激しいバトルが行われている頃、地上でもゾンビの総攻撃が開始され、ハイパーポリス軍団が迎え討っていました。
この人達はキカと武器違うみたいでブロードソードチェーンソーです。
どうしてもチェーンソーは譲れないみたいです。
ヤスシがドッカンドッカン手に付いたゾンビ首で攻撃するので、ゾンビはバラバラとドンドン落ち、東京に落下して人を襲いまくります。
感染者を守る会の会長も保護しているゾンビに身を捧げており、ハイパーポリスもやられまくります。
大沢も上半身だけの可愛いゾンビにやられてしまい、警備兵に止めを刺されていました。
ヤスシの両手の首ゾンビ高橋くんと小平くんは使い物にならなくなってしまい、キカに蹴り落とされます。
彼はミサイルの吸気口に吸い込まれて爆発し、バランスを失ったゾンビジェットは再び北海道方面へ戻りました。
こうしてキカはリッカと最終決戦となったのですが、連続殺人鬼パワーは恐ろしく、キカはフライングラリアートを食らってマウントを取られボコボコに殴られます。
しかしキカは気合で逆転し、「あたしの人生を返せ!」とリッカをボコボコにし、「ちょっと待って、お母さん操られてるだけなの」と命乞いを始めたリッカの心臓を奪い取り、首を切断しました。
操られてる説はリッカの後頭部のヒトデも全肯定して頷いてました。
リッカが死ぬと全てのゾンビの動きが停止し、キカも地上に落ち始めます。
しかし巨人が北海道に戻って来たのを見ていたカイトは車を発進させ、メロンの看板をブチ破って飛び、ナナシが落下するキカの手を掴みました。
喋れなくなっていたナナシは初めて「しんじゃダメ―」と叫びました。
そして各地ではゾンビ供養が始まっていました。
キカはカイトとナナシと共にゾンビの山をバックに決めポーズを取り、左手に握った自分の心臓を握りつぶしました。
エンドロールで終了です。
やがてリッカの首は太陽系を超えて遥か外宇宙へと飛び立ち、どこかの惑星で中国人のような宇宙人(井口昇)に襲い掛かっていました。
とりあえず平和が戻ったようですが、冒頭のシーンはどこに繋がっていたのでしょうか?