硫黄島の話 父親たちの星条旗

父親たちの星条旗

硫黄島行ったらひどい目に遭う話

制作年 2006年
制作国 アメリカ
監督 クリント・イーストウッド
脚本 ウィリアム・ブロイレス・Jr/ポール・ハギス
原作 ジェームズ・ブラッドリー/ロン・パワーズ
上映時間 132分
出演
ライアン・フィリップ
ジェシー・ブラッドフォード
アダム・ビーチ

だいたいのあらすじ

この映画が製作された当時は写真の一人はジョン・ブラッドリーであると言われていましたが、後の調査でハロルド・シュルツであることが判明しています。
ジョンが旗を立てていたのは事実だそうで、恐らく本人も誤認していたと思われます。

葬儀屋を営むジョン・ブラッドリー氏が倒れた所から映画は始まります。
この映画は硫黄島の戦いについて、ある人物が当時を回想してジョン・ブラッドリーの息子に語るという内用になっています。
彼が語り始めたのは硫黄島の星条旗の写真に関することでした。

1945年2月

海兵隊の「ドク」ジョン・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)はキャンプで登山や上陸訓練を受けた後、1万2千の日本兵が守備している硫黄島に配属される事になりました。
硫黄島には事前に爆撃機による爆撃が行われており、島は焼け野原の状態でした。
海軍は11万の兵を乗せた船団を硫黄島に向け、事前に戦艦や巡洋艦による艦砲射撃を行い、輸送船に乗って待機していたジョン達はその様子を船上で眺めていました。
海兵隊は10日間の艦砲射撃を要請していたのですが、海軍はこれを却下し、硫黄島に行われた支援艦砲射撃は3日間でした。

その夜、ドクと同じ部隊のイギー(ジェイミー・ベル)は逸る気持ちを押えようとやたら仲間の銃剣を研いで回っていました。
衛生兵であるドクはマイク(バリー・ペッパー)から「敵に衛生兵である事を悟られると狙われるから目立たないようにしろ」と注意されます。
仲間の一人アイラ(アダム・ビーチ)は日本兵が捕虜を殺害する様子の写真を持っており、トランプをしていた仲間に「捕虜はこうなるから気を付けろ」と話していました。

上陸作戦が始まり、ドク達は舟艇に分乗して硫黄島に上陸しました。
水際での日本軍の抵抗は全く無い円滑な上陸であり、小さな島には草木一本生えておらず、黒い土壌が剥き出しになっていました。
しかし日本兵は地下に潜んで米兵の上陸の様子を近くが伺っており、兵団が斜面へと進むと、たちまち野戦砲や機関銃による激しい銃撃が行われました。
この攻撃で多くの米兵が倒れ、浜に居た兵士は急いで窪みへと身を隠します。
この戦闘描写は凄いですね。ここだけでも傑作です。

日本兵の豪の存在に気付いたドク達の小隊は火炎放射で焼き払う戦法を採り、少しずつ前進しました。

1945年4月

伝令兵だったレイニー(ジェシー・ブラッドフォード)と何かの写真の件を話していたアイラは「俺は絶対に写っていない!何と言われようとあの中に居ない!」と反発していました。

レイニーはなぜか優遇されており、帰還する航空機に優先的に乗ることができたようで、座席を奪われた兵士から「英雄気取りめ」と嫌味を言われていました。
機内で上官から「6人目は誰か話せ」と迫られたレイニーはアイラの名を上げました。
この辺の絡みはなんのこっちゃという感じですが、すぐに判明します。
一方、船に乗り込もうとしていたアイラはセベランス大尉(ニール・マクドノー)から声を掛けられ、帰還させられることになりました。

問題の写真というのは新聞にも掲載された擂鉢山で星条旗を掲げる6人の兵の写真の事でした。
この写真は戦争にウンザリしていたアメリカ国民の士気を上げており、政府が戦争の必要性を訴えるのにうってつけのものでした。
既に6人の内の半数は死亡していましたが、ハーロン(ベンジャミン・ウォーカー)の母はハンク(ポール・ウォーカー)とされている写真を見て、これは息子に違いないと気付きました。

レイニーは伝令兵でそもそも前線の激しい戦闘には参加していなかったのですが、たまたま写真には写ったようです。
写真にはドクも写っており、ドクとアイラ、レイニーの三人はヤンキー・スタジアムで祝賀会に参加しました。
アイラは財務省のガーバーにハンクがメンバーに含まれている誤りに気付き、「これはハーロンだ」と指摘し、ドクと共にそもそも自分達が掲揚した旗は2回目の物であると伝えました。
軍の上層部は既にそれを知っていたのですが、新聞に掲載されてしまったので訂正していませんでした。
財政難に陥っている政府は戦争国債を売って資金を得る必要があり、ガーバーは遠回しに「事実は公表するな」と釘を刺しました。

三人は戦争国債の販売キャンペーンに駆り出され、どこに行っても英雄扱いで道行く人にも声を掛けられました。
アイラは生き残った事や国民を騙しているような罪悪感で押しつぶされそうになっていました。
また、写真に関しても議論がなされており、中にはイカサマ呼ばわりする人達もいました。
レイニーはアイラとは正反対に英雄と呼ばれる事を利用して積極的に自分を売り出していましたが、その一方で自身が伝令兵で何もせず、旗を立てる時にたまたま手伝ったのであって、真の英雄は戦死者であると演説していました。

ある会場では6人の写真を模ったケーキが出され、そこに血のようにイチゴのソースがかけられました。
それを見ていたドクは擂鉢山の戦いを回想します。

1945年2月

海兵隊の目標は硫黄島の擂鉢山を攻略目標に置いており、この山を押えると島内を一望することが出来ました。
日本側としても死守したい拠点だったようで、激しい抵抗を続けていました。
ドクが所属する小隊も擂鉢山付近に突撃していましたが負傷兵続出で、ドクは忙しく弾が飛び交う戦場を懸け回っていました。

1945年4月

ドク達はガーバーと共にアメリカ国内を忙しく移動し、戦争国債を売りこんでいました。
レイニーの地元に立ち寄った際には彼の恋人ポーリーン(メラニー・リンスキー)が飛び入り参加し、同行することになりました。
戦死者の母の慰問会場を訪れた際に「本当にハンクなのか」と聞かれたドクは言葉に詰まりながらも「これがハンクで間違いないと思います」と写真を示しました。
アイラはマイクの母と面会し、「彼は最高の海兵隊員でした」と号泣してしまいました。

アイラは鬱だったのか酒浸りになっており、酔った状態で会場を周ることが多くなっていました。

1945年2月

日本軍はたまに嫌がらせのように小規模の夜襲を掛けてくる程度の抵抗しかしなくなっていました。
ドクが所属する中隊は先発隊として擂鉢山の頂上に登り、ハンク達が旗を立てました。
海兵隊員はそれを見て一斉に歓声を上げ、湾内をびっしりと埋めている艦船も汽笛で祝福していました。
直後に軽微な戦闘が発生したのですが、ハンク達はこれを抑えました。

マイクはセベランスから頂上に電話を引くように命じられ、ドク達を駆り出しました。
ジョンソン大佐(ロバート・パトリック)は海軍の偉いさんから「旗が欲しい」と要求されたので、「クソ野郎」と悪態を吐きながらセベランスに回収を命じました。
セベランスもブチ切れながらレイニーを呼び、代わりの旗を渡して回収を命じました。
こうして掲げられた2回目の旗を戦場カメラマンが撮影しており、この写真が出回ることになりました。

1945年4月

ドク達はハリボテの山に旗を立てるアトラクションをさせられることになりました。
アイラはますます酒浸りになり、あるバーで「先住民である」という理由でお酒を出してもらえなかったので暴れていました。
警察の御厄介になりそうだったのですが、何とかドクが宥めて連れ帰りました。
タクシーに詰め込まれたアイラは硫黄島の豪の中で日本兵が手榴弾で自決した際の地獄絵図を思い出していました。

1945年2月

マイク隊は開けた谷で谷の上に陣取った日本兵の銃撃を受け、四散して岩陰に身を寄せて反撃し、何とか沈黙させていました。
しかし味方の迫撃砲の誤射を受けてマイクは吹き飛び、ドクが駆け付けた時には死亡していました。

1945年4月

当時の軍服を着せられたドクはフットボールスタジアムに設置されたハリボテの山を登りながらハンクが激しい戦闘に中で死亡した際の事、ハーロンが味方の誤射で死亡した事をフラッシュバックします。
同様にアイラもフランクリン(ジョセフ・クロス)が戦死した事をフラッシュバックしました。
二人の思惑とは無関係にスタジアムでは掲揚された旗に観客が歓声を上げ、花火が打ち上げられていました。
花火の煙はまるで戦場での爆煙や土煙のようで、ドクは歓声に手を振って答えながらも、塹壕の下の地下通路にイギーが連れ込まれて戦死したことを思い出していました。

セレモニーが終わった後、アイラが路上で吐いているのを見た軍の偉い人は「このインディアンめ」と侮蔑的に吐き捨てていました。
偉い人はガーバー達を呼び出し、アイラをキャンペーンから外し、戦場に戻すよう命じました。

感想

これは面白いです。
硫黄島の戦いの話なのですが、ちょっと変わった内容です。
冒頭に写真の件が語られて軽く謎を残しながら、硫黄島と帰国後の様子が交互に語られます。
この徐々に話が進んで行く様子がじらし系で上手いような気がします。
硫黄島での戦闘の描写は凄いもので、戦争映画ファンはこれだけでも一杯になるのでは。

露骨な反戦映画では無く、戦争賛美でもなく、仲間のために頑張った兵士達の姿を描いているようで、これがテーマなのかな?と思いました。
乱暴に言うと「持ち上げたり、落としたりすんな」という事のようです。
結局、英雄と呼ばれたアイラが不幸な人生だったのが悲しいです。
しかも彼等は英雄を自称している訳でも無く、写真の件もきちんと否定している訳です。
戦争で人生を翻弄された上に上げたり下げたりされるという悲惨な話です。

ちなみにこの戦争国債は売れたそうです。
劇中だとアメリカは戦争で疲弊してたようなので、国債売れなかったら状況も変わってたんでしょうか?
しかし劇中で硫黄島に集結する艦隊を見ていると絶対無理だなという気がしました。

ラストまでのあらすじ

辞令を聞いたアイラは「自分は英雄では無い、マイクこそが英雄だ」と繰り返し訴え、上官は「マイクも君と同じ事を言っただろう」と慰めました。
アイラは戦場に移動となり、ドクとレイニーは彼を駅のホームで見送りました。
その後のエピソードではアイラは戦後、ヒッチハイクをしている姿を目撃されたそうです。

アイラは自身の意志で戦場に戻ったと報道され、レイニーとポーリーンは婚約しました。

1945年3月

戦線が落ち着いたと見られた後も日本兵の抵抗は地味に続いており、ドクは被弾してしまいました。
首を撃たれた別の隊の衛生兵の応急措置をしている際に背後で迫撃砲が炸裂したのです。
幸いにも脚に重症を負っただけでドクは存命しており、担架で運ばれることになったのですが、搬送される直前までドクは這いずって衛生兵としての職務を全うしていました。

現在
ドクの息子に硫黄島の件を話していた人物は「戦場にいると仲間を裏切れないと感じる事がある。彼はその感情に突き動かされたのではないか」と語っていました。
また、彼はドクのお陰で多くの命が救われたと褒めたたえていました。

国債ツアーが終わった終戦後にドクはようやく足の手術を受けて帰郷し、恋人にプロポーズして葬儀屋で働くことになりました。
レイニーは国債ツアーの際に渡された名刺のコネに頼ったのですが、誰も相手にしてくれず、用務員として一生を終えました。

戦後に帰国したアイラは先住民の希望の星として称えられたのですが、戦後も英雄扱いされる事に嫌気がさしていました。
彼はどんどん身を持ち崩し、警察のご厄介になることが多くなっていました。
アイラはアリゾナからテキサスまでヒッチハイクし、ハーロンの農場を訪ね、彼の父に真相を告げて去りました。
この件はマスコミに知れ渡り、ハンクの母の耳にも入りました。
最後に関係者が顔を合わせたのは追悼記念日の日で、ハーロンの父と母も招かれました。

その後アイラは酔い潰れて屋外で死亡した姿で発見されました。
同じ頃、ドクはウィスコンシンにあるイギーの家を訪ね、彼の母に息子の死の状況について説明したということです。
そしてドクは硫黄島については一言も言及しなくなり、葬儀屋を買い取って事業に専念しました。

父が倒れた際に荷物の中から当時の新聞の切り抜きや勲章を見つけたドクの息子は硫黄島の事を調べ始め、当時の事を知る人達に話を聞いていたのでした。
息子は病院にドクを見舞い、「いい父親ではなくてすまなかった」と謝罪を受けました。
ドクは最期に硫黄島の戦闘の合間に許可を貰い、皆で海水浴を行った事を話し、息を引き取りました。

戦争の英雄とは人が命を投げ出すという行為を正当化するために人が作り上げるのだろうと息子は独白しました。
しかし英雄と呼ばれる彼等は国のために命を懸けたのではなく、戦場の仲間のために命を懸けたのであって、その事は忘れてはいけないと続けました。

映画はドク達が海水浴をしているシーンで幕を閉じます。
彼等の後方には擂鉢山の頂上に立てた星条旗がはためいていました。

エンドロールで終了です。

最後のシーンでは男達の絆というかそんな物を感じました。
特典はメイキングとか監督インタビューとか色々入ってました。

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