美人通訳がピンチです ザ・インタープリター

ザ・インタープリター

秘密を知ったらひどい目に遭う話

制作年 2005年
制作国 アメリカ/イギリス/フランス
監督 シドニー・ポラック
脚本 チャールズ・ランドルフ/スコット・フランク/ティーヴン・ザイリアン
上映時間 128分
出演
ニコール・キッドマン
ショーン・ペン
キャサリン・キーナー

だいたいのあらすじ

アフリカのマトボ共和国
この国では内戦が続き、ズワーニ(アール・キャメロン)という指導者が民族浄化を行っていました。
白人男性が黒人と一緒に反ズワーニでクワン派の人物を訪ねたのですが射殺されていました。
生き残ったカメラマンのフィリップ(イヴァン・アタル)はその建物にに重要人物が入って行く所を撮影していました。

NYの国連ビルの通訳であるシルヴィア(ニコール・キッドマン)は忘れ物を取りに戻った際に会議場で何かを聞いてしまい、凍り付いた後に急いでビルから退去していました。
全世界に開かれた国連の会議場で夜、密談とかするのでしょうか?

翌日、スクーターに乗っていたシルヴィアは不審な車の尾行を受け、危うくぶつけられそうになっていました。
その後、ズワーニ派の通訳に立ったシルヴィアは昨夜の会話の意味を知り、上司に報告しました。
彼女が聞いた内容は抽象的だったのですが、ズワーニ暗殺計画の事だった模様です。
国連では大量虐殺の件でズワーニを国債法廷に引き出そうとしていました。
そこでズワーニは民主化の演説を行い、引き延ばし工作をしようとしており、その際に彼を暗殺する計画のようです。
ズワーニを狙っているグループは複数存在しており、

シルヴィアは昨夜、賊に姿を見られたようだったので、上司のリー(クライド・クサツ)はシークレット・サービスを呼びました。
翌日、招致に応じてケラー(ショーン・ペン)、ウッズ(キャサリン・キーナー)の二人のSPが国連ビルを訪問し、
二人は依頼の背景やシルヴィアの家族構成、支持政党等の情報を事細かに聞き出しました。
シルヴィアと面会したケラーはいきなり「作り話では?」と突っ込み、自分達が彼女を守るために来たのでは無く、ズワーニを守りに来たのだと説明しました。
てっきり自分のためにSPを雇ってくれたと勘違いしていたシルヴィアは拍子抜けしてしまいました。
よく考えてみるとシルヴィアは超一般職でした。

ケラーはシルヴィアが嘘を吐いていると疑っていましたが、FBIやCIA、軍も参画してズワーニの護衛を行うことになりました。
ズワーニは元は独裁政権から民衆を解放した人物で、皮肉な事にそれが今や独裁者となっていました。
彼の主な政敵はゾーラ、クマンの二名でクマンは現在ブルックリンに亡命中だということです。
国連での演説の最中に暗殺するのはいくら何でも無理があると言うのがCIAの見解で、ガセネタだろうということでした。
ケラーはCIAが持っているシルヴィアの情報を入手することにしました。

シルヴィアは電話でフィリップに接触していましたが、彼女は今や四六時中監視されていました。
その後の調査でシルヴィアはマトボとアメリカ合衆国の二重国籍である事が判明し、ケラーは上司にその旨報告しました。
それはそうとしてケラーには他の男と逃げた妻が居るのですが、戻って来ることになったようです。
ケラーは家から逃げ出し、職場で寝ることにしました。
一方、シルヴィアは封筒にノートを何冊か入れて送る準備をしていました。

翌日、シルヴィアはうそ発見器にかけられる事になったのですが、彼女は裏でCIAが動いていると察したようでした。
また、CIAの情報を得たケラーはマトボに居たシルヴィアが12歳の時にズワーニが農場に埋めた地雷で家族と農場を失いという悲劇があったと知りました。
結果はシロで、ケラー達はズワーニの警備を行うことになりました。

ラッドの護衛方針としてはシルヴィアが声の判別が出来ていると匂わせ、彼女を囮に使うということになりました。
ケラーは早速CIAに連絡し、過去6ヶ月の入国者の声を入手して欲しいと請求し、シルヴィアが声を聞き分けられると匂わせました。
身内でも機関が違うと騙し合いなんですね。
尚、CIAが送って来たゾーラの反政府演説の写真にはシルヴィアの姿が写っていました。
ケラーはシルヴィアに写真を見せたのですが、「平和集会」だと返答され、この写真を持っている人物こそ危険と言われます。
更に両親の件を尋ねたのですが、シルヴィアはアフリカのクー族が家族を殺した罪人の命を奪わないと悲しみを忘れられるという風習になぞられ、自分は復讐を望んでいないと訴えました。

その夜、シルヴィアはアフリカの笛を吹いて心を落ち着けていたのですが、壁に掛けていたお面が盗まれているのに気付き、そしてそのお面を被った人物が窓からこちらを覗いていたので通報しました。
いつでも殺せるぞ的なことでしょうか。
早速ケラー達が駆け付けたのですが、犯人は死角である非常階段から逃走していました。
ドアにはピッキングの痕跡が無く、合鍵で入ったとしか思えなかったので、鍵の入ったバッグを開けた人物が居るのではないかという事になり、シルヴィアの職場のロッカーから指紋採取をすることになりました。

ケラーがあの仮面には何の意味があるのかと質問すると、シルヴィアはもう何年も会っていないサイモンという兄が居り、その兄から貰ったものだと返答しました。
一方、彼女を脅した人物らしき黒人男性は黒服の黒人男性に抹殺されていました。
シルヴィアを自宅に送ったケラーは「他の男と逃げた妻が帰宅する最中に男の運転する車で事故に巻き込まれて死んだ」と話し、自分だったら相手の男に復讐するのでクー族にはなれないと付け加えました。

ケラー達はシルヴィアの向かいのアパートに部屋を借り、24時間体制で監視することにしました。
同時にズワーニ警護の計画も着々と進んでおり、日々対策会議や移動ルートの策定が行われていました。
CIAからは音声調査の件を問われたケラーは「調査はしない」と適当に誤魔化しました。
一方、シルヴィアのロッカーには誰の指紋も付いていないと判明し、職員を調べることになりました。
その結果、ジャマルという職員が浮上したのですが、彼の住所には見知らぬ黒人が住んでおり、「女と出掛けた」と告げられました。
ジャマルの写真は消されていた人物に似ています。

その後、シルヴィアにはフィリップから連絡があり、彼女はバイクで出て行きました。
SPが追跡したのですが、彼女は匠みに尾行を撒き、見失ってしまいました。
フィリップと会ったシルヴィアはゾーラとクワン派の人達に「手を組もう」と呼び出され、ゾーラは暗殺されたそうです。
シルヴィアは「サイモンは一緒だったの?」と質問したのですが、フィリップはゾーラ一人だったと嘘を吐きました。
冒頭の一件ですね。あの時死んだのがサイモンだったようですね。
シルヴィアが帰宅するとケラーが家の前に居り、「君は24時間警護されている」と事後報告され、勝手に動き回るのは困ると釘を刺されます。

ケラーから質問されてもシルヴィアは返答せず「関係無いでしょ」と部屋に逃げ込みました。
その夜、シルヴィアはケラーの携帯に電話して先ほどの非礼を詫び、フィリップと会った件、かつての恋人を失った件を打ち明けました。
ゾーラと付き合ってたということでしょうか?

翌日、シルヴィアはSPの車に自分から乗り込み、ブルックリンまで乗せてとお願いしました。
SPは「タクシーじゃねえぞ」という感じでしたが、仕方なく彼女をブルックリンまで乗せ、指定のバス停で降ろしました。
一方、ジャマルを追っていたシークレットサービスは同居人がジャン・ガンバという名だと突き止め、彼が時にジャマルと名乗っていた事を突き止めました。
その頃、ジャマルを殺害し、同居人に成りすましていたジャンはジャマルのアパートから逃走していました。

シルヴィアのバス停にはクマン達が現れ、同じバスに乗り込んでいました。
クマンの通路を挟んで反対側に座った彼女はクー族の言葉でクマンに話し掛け、「お前がゾーラを殺した。兄は何処に行った!」と挑発していました。
しかしクマンは自分はゾーラには手を下していないと反論し、その様子は嘘を吐いているようには見えませんでした。
一方、ジャマルのアパートに踏み込んだケラー達は照明を点けると爆発する爆弾を発見していました。
どうやらここはゾーラ派のアジトだったようで、間もなくジャマルの遺体も発見されました。

シルヴィアの乗ったバスにはジャンとそれを尾行していたSPも乗り込んで来ました。
クマンはシルヴィアが国連通訳だと聞き、「国連は国の集合では無く、国家企業の金儲けの場だ」と批判していました。
しかしクマンはサイモンの事は調べてやると約束してくれました。
次のバス停でシルヴィアはバスを降り、ジャンも後を追うように降りました。
ケラーはヤバいと勘付き、全員バスから降ろすようにSPに指示したのですが、間に合わずバスは爆発してしまいました。

ジャンを尾行していたSPは死亡しましたが、シルヴィアは無事でした。
シルヴィアを送って行ったケラーは部下を失った怒りで「お前は嘘ばかりだ!バスの中で何してた!」と怒鳴りました。
彼女は「クマンとは初対面でお願いがあった。人に危害が加わるのでこれ以上は話せない」と返答しました。
ケラーは彼女の前に写真を一枚投げたのですが、そこには白人男性と共に自動小銃を持って移動しているシルヴィアが写っていました。

シルヴィアは両親を地雷で殺害された後にサイモンと行動していた件、サイモンはズワーニに復讐しようとしている件、自分は兄とは決裂したが今でもノートを送っている件を打ち明けました。
あのノートは兄宛てだったんですね。フィリップかと思ってました。
また、暗殺計画を知った時に兄が絡んでいるかもしれないと考えた事、ゾーラとは恋人だった事も打ち明けました。
その後、フィリップが抹殺されてしまったのですが、彼の鞄にはシルヴィアに宛てた手紙とシルヴィアが送ったノートが入っていました。
フィリップの手紙にはサイモンの死の事が書かれており、シルヴィアはケラーの知らせで兄の死を知るのでした。

フィリップが遺した鞄にはサイモンの遺品が含まれていたのですが、その一部であるノートにはズワーニに虐殺された人の名簿がありました。
シルヴィアはノートの末尾に「サイモン・ブルーム 射殺」と書き、自分の名前も書きました。

感想

これは普通です。
お話はアフリカの架空の国の要人暗殺計画を知ってしまった通訳がヤバいという内容です。
これ、隠しごと映画なのでお話が難しく、うっかり寝てしまうとお話が分からなくなりそうです。
まあ、なかなか面白いので寝る事は無かったのと1時間ちょっとで殆どの隠しごとはネタバレするのでギリギリ大丈夫でした。
多分、この映画が私が筋理解できるボーダーラインだと思われますので、これ以上難しくなるとギブです。
サスペンスだと思いますが、ヒューマンドラマの要素も多いです。

最後は意外な真実が明らかになるのですが、実はクマンが伏線を話していたので、予想はつきました。
シークレットサービスってケヴィン・コスナー氏の映画のようなものを連想しており、頭の中をホイットニーがリフレインしていたのですが全然違いました。
てっきり、アクションかな?と思っていたのですが、そんな事は無かったです。

一応、ロマンスっぽい流れもあるのですが、話はそっちには行かないです。
演出はアクション系がちょっと残念な気がしましたが、空撮とかカメラの動きが良いのではないかと思いました。
主人公が通訳だという設定も活きていたかなあと感じました。

シルヴィアも良かったですが、この映画はケラーが良かったと思いました。
少しおっかない感じの敏腕捜査官という感じが伝わって来ました。
現場での指示もてきぱきとしていて、私には1mmも無い能力で羨ましいです。
最後の笑顔のギャップも良かったです。
あと、ズワーニの人がふてぶてしい感じで良かったです。ここまでくると清々しいほどの悪人だと感じました。
また、クマンが意外といい人っぽかったのもウケました。

尚、ケラーの相棒ウッズとシルヴィアの上司リーは空気だった模様。

ラストまでのあらすじ

その夜、シルヴィアは何かを決意したようにズワーニの自伝を鞄の中に入れていました。
ケラーは向かいの部屋でシルヴィアを見張りながら、ゾーラもクマンも死んだのであればジャンを雇ったのは誰なのか?と思案していました。
ふとシルヴィアの部屋を眺めるとジャンが侵入しているのに気付き、急いで駆けつけました。
ジャンはガチの殺し屋だったようで、サプレッサー付きの銃をシャワーの音のするバスルームに発砲した後にケラーと撃ち合いになります。

ケラーはジャンを射殺したのですが、シルヴィアはシャワーを浴びているように偽装工作して窓から逃走していました。
そして上司から働き詰めだから休めと言われたケラーは帰宅しましたが、彼は段々とシルヴィアに魅かれるようになっていました。
帰宅するとシルヴィアからの留守電が入っており、「あなたと兄は正しかった。私の考えはもどかしい。故郷に帰ります」という伝言がありました。

いよいよ演説の当日になり、ケラー達はズワーニの警護を固めると共にシルヴィアの行方を追い、大忙しです。
更にジャンが国連大使と通話していたという新事実が判明しました。
そして「人殺し!殺戮止めろ!」というプラカードで歓迎されたズワーニも国連ビルに到着しました。
土壇場でジャンが電話していた相手はズワーニの側近だったと判明し、ケラー達は身柄を押えようと奔走します。
側近は事前にトイレに仕掛けられたパイプを外し、ライフルを用意し、音声室に潜入して職員を殺害していました。
これ、内通者が居るということですよね?

内通者の正体はCIAの捜査官で、彼は音声室に現れました。
いよいよズワーニの演説が始まり、側近がライフルを構えた時、ケラーが気づいてズワーニの演説を中断させました。
CIA捜査官は側近を裏切って射殺し、自分の手柄としたのですが、ケラーに見抜かれました。
一方、ズワーニの控室に潜入したシルヴィアはズワーニが銃を持っていた事を知っていたので奪いました。
ちょっとガッカリです。普通警護付きますよね。
ケラーはこの事件はズワーニの自作自演だったと見抜き、CIA捜査官を逮捕しました。

シルヴィアはズワーニに銃を突き付け、自伝を読ませて恨み言を言っていました。
ケラーは部下からシルヴィアが空港で見つからないと連絡を受け、ズワーニの所に居ると悟りました。
控え室に駆けつけたケラーは「5分くれ」と仲間に告げ、シルヴィアに呼び掛けて説得にかかりました。
ケラーはズワーニの自作自演の件を伝え、彼は裁かれると話したのですが、シルヴィアは私が裁く!と聞き入れませんでした。

ケラーは撃ったら君も死ぬ!俺を残して死なないでくれ!と叫びました。
シルヴィアは銃を突きつけたままズワーニに心を込めて自伝を読ませて反省を促し、銃を納めました。
そして彼女は何処かで犠牲者リストを読み上げていました。
一つ勘違いしていたのが、CIA捜査官は土壇場でジャンを裏切ったのかと思ったのですが、これは全て筋書きでした。
疑問に思ったのが、誰もシルヴィアがビルに立ち入った事を知らなかった点で、これICの履歴で一発で分かりますよね。

ズワーニはICCで裁かれる事になり、戦争犯罪者として逮捕されました。
シルヴィアは送還され、故郷に帰ることになり、ケラーにお別れを言いに来ました。
二人は連絡を取り合う事を約束して別れるのですが、シルヴィアは最後にケラーの妻の名を尋ねました。
ケラーは「ローリーだ」と答え、シルヴィアはクーマ語で「ご冥福を」の意味の言葉を残してから去りました。

エンドロールで終了です。

少し結末にはガッカリしました。
結果はあれで良かったと思いますが、説得材料として「今こいつ殺しても祖国では同じことの繰り返しになるよ」的な何か政治的な会話が欲しかったと感じました。
そう思ったのですが、最後のシルヴィアとケラーの笑顔を観たらどうでも良くなりましたのも事実です。

ズワーニ一味の悪事を纏めるとこんな感じかなあと思いました。
・ゾーラとサイモンをクマンを装って殺害
・CIA捜査官を内通させて自作自演の暗殺計画を捏造
側近は殺る気満々だったと思いますので、捜査官は二重スパイのような感じだったのだと思います。
・ゾーラ派を装ってジャンにクマンを暗殺させ、爆破テロを起こす
・これらを暗殺と組み合わせ、「うちの国テロで大変なんです!私のやってるのは対テロで粛清じゃないんです!」と訴える

特典にはもう一つのエンディングが入ってました。
ズワーニはICCで裁かれず、なぜか国連会議で犠牲者リストを読み上げており、横ではシルヴィアが死亡原因を読み上げていました。

無理あり過ぎますね。

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