深淵を見つめると深淵もまたこちらを見ている的な ゾディアック

ゾディアック

殺人事件追ったらひどい目に遭う話

制作年 2007年
制作国 アメリカ
監督 デヴィッド・フィンチャー
脚本 ジェームズ・ヴァンダービルト
原作 ジェームズ・ヴァンダービルト
上映時間 157分
出演
ジェイク・ジレンホール
マーク・ラファロ
ロバート・ダウニー・Jr

だいたいのあらすじ

1969年7月4日のこと、カルフォルニアの駐車場に停車していたカップルの前に何度か見た覚えのある赤い車が現れ、運転席から降りて来た男がサプレッサー付きの拳銃を何度も撃ってカップルを射殺しました。
その翌日、警察には「ガキを殺した。前にも殺したことがある」と犯人らしき人物から電話がありました。
この事件では男性は生き残り、女性は死亡しました。

その四週間後、サンフランシスコの新聞社サンフランシスコ・クロニクルで風刺漫画を描いているロバート・グレイスミス (ジェイク・ジレンホール)の勤務先に7月4日の事件の犯人に名乗る男から犯行声明が届いたのですが、その手紙には犯人しか知らないクリスマスの事件の事も書かれていました。
手紙には謎の記号を含む暗号文が添付され、この暗号を新聞に掲載しなければ8月1日から大量殺人を開始し、12人殺すという脅迫や○に十字を描いたような記号の署名がありました。
7月4日の事件を担当していたポール・エイヴリー(ロバート・ダウニー・Jr)は早速事件の裏を採ることにしました。

警察に電話して去年のクリスマスの事件の裏を採ったポールは事実だと上に報告し、クロニクル社は社長命令により、犯人の暗号文を掲載することにしました。
その後、暗号の一部は解読されたらしく「俺は殺人大好き」的な事が書かれていたということでした。
パズルやクイズが大好きなロバートは犯人の暗号に魅せられ、それを知ったポールに暗号の一部を託されます。
9月27日の日には若いカップルが綺麗な湖のある公園のほとりで黒服の覆面男に銃を突き付けられて縛られ、ナイフで嫌と言うほど刺されました。
犯人の胸にケルト十字のような紋章があってウケます。

犯人はまたもや警察に自分で通報し、カップルの男性は一命を取り留め、女性は死亡しました。
そして犯人は以前に自称していたので「ゾディアック」という通称で呼ばれるようになります。
10月11日にはタクシーの運転手がゾディアックに射殺され、財布を奪われました。
今回は女性の目撃者がいて彼女が警察に通報し、サンフランシスコ市警のデイブ・トースキー(マーク・ラファロ)がこの事件を担当することになりました。
付近に住んでいた少年が家の窓からゾディアックの姿を見ており、眼鏡の白人で背は低く小太りということでした。

その後、ゾディアックからクロニクル社に「先日のタクシードライバー殺人犯は俺だ。証拠として被害者の衣服の一部を同封する」という犯行声明が届きました。
通報を受けたデイブ達がクロニクル社に駆けつけてシャツの切れ端を回収し、報道規制を敷きました。
犯行声明には「今度はスクールバスを襲う」的な脅迫が含まれていたので、デイブは関係部署に連絡することにします。
また、ポールは今回の事件でゾディアックの物らしき指紋が採取されたという事を知りました。
尚、クロニクル紙では脅迫の内容を伏せ、ゾディアックの犯行声明だけを紙面で扱うことにしました。

警察の中でもデイブの相棒ウィリアム(アンソニー・エドワーズ)のように「脅迫を世間に公開して事件を防ぐべき」と述べる人物も居り、その後スクールバスの件はTVで報道されました。
実はロバートは別れた妻との間に設けた息子と二人暮らしをしており、スクールバスが襲われると聞いて他人ごとではありませんでした。

その後、ゾディアックは弁護士のメルヴィン・ペリー(ブライアン・コックス)を指名して通話に応じ、その様子はTVで放映されました。
ゾディアックは頭痛を訴え、人を殺すと頭痛が治まると主張しており、ペリーと商店の前で待ち合わせる約束をしました。
しかしこの電話は精神病院から架けられた患者の悪戯だったと発覚し、被害者男性も全然違う声だと証言しました。

その後、ゾディアックは警察をあざ笑うかのような暗号付の手紙をクロニクル社に送って来ました。
普段はロバートを相手にしないポールは「暗号ならあいつ」と再びロバートに接触します。
ロバートによればゾディアックの暗号はそれほど難しくないそうで、最初の暗号は暗号好きな一般人でも解けたそうです。
そしてゾディアックが混ぜている古代文字のような暗号はゾディアック暗号と呼ばれるそうで、彼の名はそれに由来しているのではないかということでした。

世間はすっかりクリスマスシーズンを迎えた頃、ゾディアックからペリーに宛てて「自分を抑えられずに殺人を犯してしまうかもしれない」という内容の手紙が届きました。
その後、寂しい夜の道路で赤ちゃんを助手席に乗せて運転していた女性に見知らぬ男が合図して車を寄せさせ、「後ろのタイヤが抜けそうだから直してあげる」と声を掛け、レンチで後輪をいじくっていました。
女性が車を発進させるとすぐにタイヤが外れてしまったのですが、先ほどの男が「スタンドまで送ってやる」と声を掛けて来たので、女性は車に同乗してしまいました。
男はスタンドを通り過ぎ、「お前を殺す前に赤ちゃんを投げ捨てる」と脅したので、女性はビビッて車から飛び降りました。

女性と赤ちゃんは無事だったのですが、どうやらこの犯行もゾディアックの仕業だったそうで、その後もゾディアックからは警察をあざ笑うような手紙が沢山来ました。
ゾディアックは次々に事件を起こしたのですが、ポールはそれがハッタリで他の者が起こした事件をさも自分の犯行のように見せかけているだけだと判断していました。
彼曰くゾディアックの犯行はカップルとタクシードライバーのみだと考えているようで、その件をロバートと共有しました。

最後のタクシードライバー殺害事件から1年が経過し、ポールはゾディアックを紙面でホモ呼ばわりしたので、ゾディアックから殺人予告を受け、護身用に銃を持ち歩くようになりました。
その後、ポールは匿名の情報屋からゾディアックに関するタレこみがあると言われ、ダウンタウンへと面会に行きました。
匿名の情報屋とは警察内部の人間であり、1966年に発生した事件もゾディアックの犯行ではないかという証拠を受け取りました。
そしてポールはTVでそれを発表し、情報を漏らした警官もデイブ達に自分が情報を漏らしたと打ち明けました。
その後警察にはゾディアックに関する誤情報が多数寄せられ、捜査は混乱するばかりでした。

1971年7月に警察はアーサー・リー・アレン(ジョン・キャロル・リンチ)という人物が友人に「自分がゾディアックだ」と打ち明けていたという話を聞きました。
リー・アレンは実際にはそんな話はしていなかったのですが、ゾディアックに特徴が似ていたため、警察では彼の捜査を強化します。
デイブ達はリー・アレンの家宅捜索を行おうとしていましたが、証拠不十分で令状は取れませんでした。

その1年後、ポールはお酒に溺れるようになり、クロニクル社に居づらくなってしまいました。
デイブは未だにリー・アレンを追っており、彼が引っ越した機に筆跡鑑定士に「感情で筆跡が変わることがある」と証言させ、更に友人達から「リー・アレンならやりかねない」と証言を得て、無理矢理家宅捜索に持ち込みます。
そして1972年の9月には令状を取り、リー・アレンが住むトレーラーハウスに踏み込みました。
色々と証拠になりそうな物を押収したのですが、結果はシロでリー・アレン逮捕には踏み込めませんでした。

デイブは自分が事件を解決したかったのか、事件から解放されたかったのか分からなくなり、上司(ダーモット・マローニー)から休暇を取れと慰められました。
そこで映画を観に行ったのですが、よりによってダーティーハリーで、ゾディアックを模したスコルピオが出てくるので気分がわるくなって途中退席しました。
映画館にはロバートと友人から紹介されて仲良くなった恋人のメラニー(クロエ・セヴィニー)も来ており、デイブを見たことがあったロバートはデイブに「ポールの同僚だ」と自己紹介し、「きっとゾディアックは捕まる」と励ましました。

その4年後、ポールはクロニクル社をクビになり、地方紙の記者となっており、ロバートは相変わらず漫画を描いていました。
また、ウィリアムは異動願いを出して詐欺課に異動となり、デイブとのコンビは解消しました。
ロバートはメラニーと再婚していたのですが、ゾディアックの本を出したいと考え、ポールを訪ねてみたのですが、彼は既にゾディアック事件への情熱を失っていました。

1977年の事、ゾディアックは3年も沈黙しており、世間は彼の事を忘れていました。
ロバートは図書館で暗号の本を全て借りた軍人が居ると突き止め、デイブに知らせたのですが、デイブは協力できないと言いつつ、警察関係者等を紹介してくれました。
たらい回しにされた末にバレーホ署のジャック(イライアス・コティーズ)に資料の閲覧のみ許可されたロバートはリー・アレンの誕生日が12月18日であること、犠牲者のダーリーンという女性の夫が事件の夜に洗い息遣いをしていた件等を記憶しました。
この時はロバートはリーの件を知らなかったので、彼の事は完全にノーマークで、誕生日情報は視聴者サービスのようです。

ロバートはデイブに犯行が行われた日にダーリーンの家に無言電話があった件、ダーリーンがパーティーのゲストに怯えていた件を話しました。
生き残ったマイクに容疑者の面通しをした方が良かったのではとも持ち掛けたのですが、マイクは行方不明だそうです。
ロバートはゾディアックはダーリーンの知り合いであると仮説を立てました。
その後、ベリーを訪ねたロバートは家政婦からベリーがゾディアックから「誕生日だから殺す」とという電話があったと聞きました。

その後、ロバートはゾディアックの本を出すことにしたようで、クロニクル紙にその件が掲載されました。
その夜早速匿名の電話が自宅にあり、犯人がスナッフフィルムを撮影している件、フィルムはボブ・ヴォーンという人物が所持しており、犯人の名はリック・マーシャルというタレこみがありました。
そしてとうとうロバートの自宅には謎の無言電話が架って来ました。

感想

これは普通です。
劇場型連続殺人鬼を追う男達の姿を描いたドラマです。
映像は所々で見どころがあるのですが、私はお話に入り込めなかったです。
お話が長くて退屈なのと、登場人物が多くて、誰が誰やらという感じでした。
事実は小説より奇なりということなのかもしれませんが、ロバートがあそこまでゾディアック事件に入れ込む理由もよく分かりませんでした。

断片的な会話と子出しにされる証拠で引っ張っているので、お話に入り込めれば「これはこういうことなんじゃないか?」とか「あれはあの時の男だからこういうことか!」とか楽しめる気がします。
でも私には事件自体に興味が無かったのと、ドキュメンタリータッチで進んでいくのが退屈でした。
そんな私から観ても結末付近の展開はなかなか惹きつけられるものがあり、盛り上がりました。
多少の脚色はあるのだと思いますが、ボブとの絡み等も面白かったと思います。

当時は科学捜査が発達してなかったので、大変だったんだなあと感じました。
あと、素人が捜査しているのでかなり脱線したり行きつ戻りつしている様子だったのですが、これは逆にリアリティがあったのかなあという気がしました。
私にはその辺りも非常に退屈だったのですが。

ゾディアック事件って概要は知っていたのですが、改めてググってみるとこの映画は色々と忠実に再現していると判明しました。
デイブはいつも蝶ネクタイしてるんですけど、当時の捜査官が蝶ネクタイだったようで、髪型も寄せてるようです。
ゾディアックの黒ずくめのコスプレも事実だったようでビックリです。
事件の事を細かく調べて映画化しているようで、凄い頑張ったみたいです。

ラストまでのあらすじ

その後、ロバートはリック・マーシャルが怪しいと睨み始め、密告者であるウォレスの連絡先を突き止めて電話した所、リックが書いたという手書きのポスターを送ってくれました。
専門家に鑑定を依頼すると、かなりゾディアックに近いというっ結論が出たのですが、まだ決定的ではありませんでした。
1978年4月にゾディアックから久し振りに「久し振りー。俺の映画愉しみ。デイブ元気?」的な手紙が届いたのですが、手紙を受け取ったクロニクル紙のコラムニストはデイブがゾディアックを装って書いたものだと主張しました。
デイブは捜査を外され、ロバートにも協力してくれなくなりました。

1979年8月、ロバートは暗号を解読したとTVで発表したのですが、息子の協力を得て解読したものでした。
その後、ロバートはボブ・ヴォーンの自宅に招かれて話を聞くことになったのですが、彼はリックがゾディアックだという件は否定的で問題のフィルムもリックが持ち去ったそうです。
ボブは当時映画館を運営していたそうで、ポスターの文字も実は彼が書いたものだそうです。
そしてその映画館ではゾディアックが台詞を引用していた映画「猟奇島」がゾディアックの犯行直前に公開されていたそうで、ボブが恐ろしくなったロバートはそそくさと帰りました。

そして帰宅したロバートでしたが、メラニーは子供を連れて実家に帰っていました。
メラニーは以前からTVに出たりするのは犯人を刺激して危険と主張しており、それでも家庭を顧みずにゾディアック事件に没頭しているロバートにとうとう愛想を尽かしたようでした。
その後、ロバートはダーリーンの姉で収容所に入っているリンダ(クレア・デュヴァル)に面会する機会を得ました。
そしてリンダからダーリーンのパーティーに参加した男はリックでは無くリーだったという情報を得ました。

急いでバレーホ署の資料を調べたロバートはリンダの言うことが当時の証言と一致しているのを確認し、犯人はリー・アレンだ!と判断したのですが、ジャックは「奴の捜査は終わった」と取り合ってくれませんでした。
そしてリー・アレンの誕生日が12月18日だと再び気付いたロバートはデイブの家に飛び込み、「犯人はリー・アレンだ」と断言しました。
デイブはやれやれという感じで、早朝の人気無いダイナーでロバートの推理に付き合うことになりました。

ロバートはゾディアックとリーの動きを整理したのですが、どうやらゾディアックが沈黙していた期間はリーが精神病院に入院していた期間と一致していたようです。
そしてリーが退院した直後に「久し振り」の手紙が届き、実はその時期にデイブはリーから「俺が犯人でなくて残念だったね。協力できることはするから」とタイピングされた手紙を受け取っていました。
デイブは状況証拠だけではどうにもならないと話していたのですが、リー・アレンに関するロバートの独自調査で新事実をいくつか聞いて驚き、「本を書き上げろ」と激励して去りました。

1983年10月、ロバートは雑貨屋で働くリー・アレンと顔を合わせました。
1991年の8月、バレーホ署の警官が7月4日事件の生き残り男性に何人かの容疑者の顔写真を見せると、彼は「この男に8割がた間違いない」とリー・アレンの写真を指しました。
リー・アレンはその後死亡し、ポールも2000年に肺気腫で死亡しました。

エンドロールで終了です。

一応、未解決事件ながら映画の中では結論出たみたいです。
特典はインタビューでした。

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