墓場の館
民宿手伝いに行ったらひどい目に遭う話
制作年 | 1980年 |
制作国 | カナダ |
監督 | ウィリアム・フリュエ |
脚本 | ウィリアム・フリュエ |
上映時間 | 93分 |
出演 |
ケイ・ホートリー |
レスリー・ドナルドソン |
バリー・モース |
だいたいのあらすじ
ヘザー(レスリー・ドナルドソン)は夏休みの間に母の実家である祖母の民宿の手伝いをすることになりました。
ということでデカいスーツケースを二つ抱えて田園風景の中、バスを降りたのですが、迎えに来るはずだった祖母のモード(ケイ・ホートリー)は車が故障して出られませんでした。
そこでヘザーはえっちらおっちらと砂利道を歩くのですが、道中の橋の上で不気味な薄汚れた黒猫がニャーンと鳴いていました。
ヘザーは猫が嫌いなのか、シッシッと追い払うのですが、なぜか猫は彼女に付き纏って来ました。
そこに地元の若者リック(ディーン・ガーベット)が車で通りがかり、ヘザーを祖母の家まで乗せてくれました。
リックは言葉を濁していましたが、モードの家は曰く付きの家らしいのです。
ヘザーはモードに出迎えられたのですが、ヘザーの祖父であるモードの夫はある日突然失踪したそうで、彼女は今でも夫の帰りを待っているのだそうです。
また、この家には祖父が雇ったという陰気な墓堀人ビリー(ステファン・E・ミラー)が使用人として働いていました。
その頃、村外れのサムの農家では干し草の山の中にある車を発見し、警察に通報していました。
どうやらその車は三週間前から捜索願いが出ている不動産屋の物らしいと判明しました。
モードの民宿には宿が取れなかったというブラウニング夫妻という旅行者が泊まりに来ました。
どうやらこの二人は不倫旅行をしているらしく、ハリー・ブラウニングの連れであるフローラは「ここ不気味でボロくて嫌」と文句ばかり言っていました。
その夜、ヘザーは電柱の上であの黒猫が威嚇するように鳴いているのを目撃し、恐くなったので布団を被って寝てしまいました。
モードには何か秘密があるようで、地下で何者かに「ヘザーを追い出せ」と指示されて「あの子には指一本触れさせない」と反発していました。
翌朝、リックの兄で警官のジョー(アルフ・ハンフリーズ)が民宿を訪ねて来て聞き込みを行いました。
不動産屋は何回かここに来て土地を売ってくれないかと打診して来たそうですが、モードが追い返したそうです。
民宿に泊まりこんでいるデイヴィス(バリー・モース)はその様子を意味ありげに見ていました。
その後、ヘザーはハリーに置いてけぼりを食ったフローラを川まで案内したのですが、そこでリックに再会して「今夜飯でもどう?」と誘われてOKしていました。
なお、民宿は元葬儀屋で近くには墓場があったようです。
ジョーはこの二年間に6名失踪者が出ていることに不信感を抱いているのですが、署長は「そんな事どうでもいいから駐禁の取り締まりでもして来い」と相手にしていませんでした。
民宿はどんどん客が来て大忙しで、モードは手際よく家庭料理を振る舞い、ヘザーも頑張ってお手伝いをしていました。
ハリーとフローラはイマイチ素行が悪いのでモードは出て行ってくれと告げたのですが、「料金は払ってるし、明日には出るから」と開き直られていました。
その夜、ハリー達は村のバーでバカ騒ぎをした後に川の崖の上に車を停めてイチャコラっしていたのですが、背後からトラックが現れてハリーの車に何度もタックルし、車は崖下に転落して川に沈みました。
その後、深夜にリックに送られて帰宅したヘザーは地下室でモードが誰かと話すの聞き、モードに確認したのですが、誰とも話していないと言われてしまいました。
モードは夜遅くに帰宅したヘザーを軽く叱るのですが、孫には甘いのかママには内緒と許していました。
その深夜にこっそりと地下を覗きに行ったヘザーでしたが、入り口はしっかりと南京錠で施錠されており、窓越しに黒猫が現れて威嚇したので怖くなって部屋に引き揚げました。
翌日、モードは町に買い物に出ることになり、デイヴィスが町に用事があると言うので送って行ったのですが、なぜかデイヴィスは警察署に入って行きました。
ヘザーはリックに地下室の件を相談し、リックと共に地下室に入って霊柩車と「H・D」と書かれたネックレスを発見しました。
リックは「この霊柩車高く売れるよ」等と話していたので、ヘザーはモードにその件を話したのですが、普段は優しいモードは「絶対に地下室に入ってはいけません」と厳しい顔でヘザーに告げるのでした。
しかしその夜も地下室で話し声を聞いたヘザーは地下室に侵入し、カーテンの向こうで話し込むモードの姿を目撃します。
ヘザーは林檎の瓶詰の瓶を落としてしまい、存在バレしたので急いで部屋に戻って寝たふりをして誤魔化しました。
翌日、デイヴィスは警察署に行って何やら人探しをしていたのですが、地元民のバリーから有力な情報を得たようです。
一方、ヘザーはリックと一緒に町に造花を出荷しに行き、道中で「祖父は他の女性と逃げたのだ」という話を聞きましたが、ヘザーはそんなの出鱈目だ!と否定していました。
感想
これはイマイチです。
田舎町の民宿で起きる不吉な事件の謎を解くという内容です。
しかしミステリー的な要素は殆ど無く、直ぐに犯人分かっちゃう気がします。
一応、ビリーに挙動不審な事をさせたりしてますが、彼を犯人だと疑う人は殆どいないのではないかと思います。
そういう訳なので、後は殺人鬼の動機が気になって観ていたのですが、ちょっと悲しい話系でした。
冒頭付近の雰囲気はなかなか良かったのですが、展開が単調で盛り上がりに欠け、テンポも悪いです。
なので退屈な作品なのですが、モードの人は頑張っていた気がしました。
これ、ぶっちゃけるとサイコじゃんって思ったのですが、結末付近の展開も一緒でした;;
見せ場は車転落シーンやデイヴィス殺害シーン、クライマックスの追いかけっこシーンのようです。
黒猫がちょいちょい出てくるのですが、これは危険を知らせたり、殺人鬼を思いとどまらせたりという役目のようです。
しかしながらこの猫の正体はイマイチ不明で、ヘザーは猫嫌いみたいで、異常に怯えてました。
他の人物は普通にナデナデしたり、猫ちゃん猫ちゃんと追い掛けたりしてます。
この猫いつも尻尾立ててるので、後者の方が正常な反応だと思われます。
イマイチ登場人物にも魅力がないのですが、ジョーは事件を解明しようと頑張ってるので好感持てます。
モードも優しくていいおばあちゃんだと思えるのですが…
ヘザーを筆頭とした若い男女も素直でいい子が多いので不快にはならないのですが、逆に特徴ない感じです。
超つまらない訳ではないので、昔の映画を沢山観たい!とか思っている人は観てもいいのではないかと思いました。
でも面白味が少ないのは事実なのでお勧めしません。
ラストまでのあらすじ
民宿に戻ったデイヴィスは「妻のヘレナを捜しており、町の人にあなたのご主人と逃げたと聞きました」とモードに打ち明けたのですが、モードは「そんなの出鱈目!」と否定し、「親切な人だと思ってたのに裏切られた」とシクシク泣いて部屋に籠ります。
その後、デイヴィスは釣りに出た帰り道にスコップで撲殺され、民宿の隣にある墓場に埋められていました。
翌日、警察署にはハリー達が行方不明になったと捜索願が出たのをジョーが受けていました。
一方、ヘザーはリック達と川に泳ぎに行っていたのですが、リックの友人リンダが川底のフローラの遺体を発見しました。
通報を受けた警察では川底の捜索を行い、間もなくハリーの遺体と車を発見して引き上げていました。
ジョーはモードに聞き込みを行い、ハリー達が宿泊していた部屋を調べます。
また、ジョーはデイヴィスが昨夜発ったと聞いて疑問を抱き、彼の住所や他の宿泊客の住所を聞いて引き揚げました。
署に帰ったジョーは発見されたハリーの車に私物が一切積まれていない事に疑問を抱いていました。
その夜、ヘザーはリックと共にリンダのお見舞いに行ったのですが、ビリーは黒猫に誘導されてに地下室へ入り、話声を聞いたので、声の方に進みます。
ビリーはとうとう奥のカーテンを開けたのですが、背後から現れた人物にエンバーミングに使う針のような道具で刺殺されてしまいました。
殺人鬼はビリーの遺体を運び出していたのですが、ヘザーがリックに送られて帰宅したので、地下室にとどまりました。
リックは地下室のドアが開いているのを発見し、「この際だからはっきりさせよう」的にヘザーを伴って地下室へと下りました。
そこで二人はビリーの遺体を発見し、同時に殺人鬼がリックに襲い掛かって来たのですが、殺人鬼の正体はモードでした。
全然驚かなかったです。開始後すぐに犯人分かりました。
モードは祖父の服を着て彼の声色を使っており、リックをKOした後にヘザーに襲い掛かります。
ヘザーは狭い地下室の中を身を隠しながら逃げ回り、モードは自分と祖父の人格を入れ替えながら無茶苦茶に斧を振り回して周囲の物を破壊しながらヘザーに迫ります。
とうとう追い詰められたヘザーは椅子に座らされた祖父のミイラを発見して悲鳴を上げ、モードは斧を振り上げて彼女に迫りました。
モードはヘザーを殺害する寸前に我に返り、民宿が怪しいと駆け付けたジョー達に発見されました。
ジョーはモードを落ち着かせようとミイラを示して「ご主人見つかりましたね。もう捜さなくていいですね」
と話しかけ、「上で話を聞かせてください」とモードを連れ出しました。
モードは以前に神経衰弱で入院していたのだそうで、退院して帰宅すると自宅では夫が別の女性と暮らしていました。
発狂したモードは夫とヘレナを殺害し、寂しかったので夫のミイラを地下に置いて話し相手にしていたようでした。
警察では失踪者の遺体を捜そうと墓場を掘り返しており、ビリーのパトカーのボンネットには黒猫が「ニャー」と飛び乗るのでした。
エンドロールで終了です。
黒猫は良心っぽい感じに使われているのかな?と感じました。
ビリーを誘導したのも「自白チャンス」のようなものだったのかなあと。